国内でも競争が激化している再生可能エネルギー業界では、太陽光発電関連サービスを提供する企業が毎月のように新規参入しています。そんな中で「限られた広告予算でどれだけ効率良くリードを獲得できるか」は、事業規模を問わず死活問題です。本記事では、当社がGoogle広告運用代行を通じて 獲得単価を40%削減し、リード数を180%増 させた事例を詳しくご紹介します。数字だけでなく、戦略設計の考え方から実務オペレーションまで余すことなく解説しますので、同じ課題を抱えるマーケティング担当者の方はぜひ参考にしてください。
導入企業情報
この事例のクライアントは関東地方を拠点に太陽光発電システムの設計・施工・保守を手掛ける中小企業(従業員数約30名、創業15年目)です。主力商材は産業用10kW〜500kWクラスの太陽光パネルとパワーコンディショナー。販路はこれまで代理店経由が中心でしたが、脱FIT後の市場縮小を受けて「BtoB直接販売モデル」への転換を決断。そこでオンライン集客の柱としてGoogle広告を導入していました。
基本プロフィール
- 事業:太陽光発電設備の設計・施工・保守
- ターゲット:工場・倉庫・商業施設などの法人オーナー
- 平均案件単価:1,200万円(システム規模200kW想定)
- 商談から成約までの平均リードタイム:6〜12か月
同社はすでに月50万円前後の広告費を投下していましたが、自社運用のノウハウ不足と不十分なLPが原因で、成果が思うように伸びていませんでした。
課題(Before)
- CPA高止まり(15,000円台)
入札戦略が自動化任せで、キーワードの粒度やマッチタイプが最適化されていませんでした。特に「太陽光 発電」など情報収集系クエリが多く、コンバージョン意欲の低い流入に広告費を消耗。 - コンバージョン率(CVR)1.1%の低迷
LPは製品カタログを転載しただけで、導入メリット・ROIシミュレーションが不足。フォームも11項目と長く、モバイル離脱が目立っていました。 - トラッキング環境が不完全
GA4とGoogle広告の連携はされていたものの、電話・資料ダウンロード・オンライン相談予約など複数CVを分けて計測できておらず、最適化が機能していない状態。
こうした課題により、月平均問い合わせ数は11件、そこから商談化するのは2〜3件に留まり、経営目標の半分以下の成果しか得られていませんでした。
施策内容
① 戦略設計フェーズ(初月)
- 社長・営業部長へのヒアリングで年間売上目標・平均受注単価・利益率を把握。
- キーワードクラスターを167パターンに分類し、意図(情報収集/比較検討/購入)ごとに網羅。
- 競合5社の広告クリエイティブと入札動向をリサーチし、強み差別化ポイント(20年間無償点検・自社施工100%)を抽出。
② アカウント再構築(2〜3週目)
- キャンペーンを意図別×地域別で再編(例:『比較検討×関東』、『購入意欲高×首都圏』など)。
- 除外キーワードを100語以上追加し、無駄クリックを削減。
- 広告表示オプション(サイトリンク・電話番号・リードフォーム)をフル実装。
③ LP高速改善(同時並行)
- フォーム項目を11→5項目に削減。モバイルUIを改善し、送信完了までの視線移動を最短化。
- 導入後の電気代削減額を自動計算できるROIシミュレーターを実装し、比較検討層のCVRを底上げ。
④ 運用・PDCA(2か月目以降)
- 週次レポートで検索語句の質とLPヒートマップを分析、クリック率(CTR)低い広告文を隔週でテスト。
- 成果の良い広告グループへ予算を段階的に+30%シフト。一方でROI悪化したディスプレイ面は停止し、動画リマーケティングへ再投資。
- 電話計測(CallRail)導入でオフライン成約まで紐付け、機械学習の最適化精度を向上。
成果(After)
- CPA:15,200円 → 9,100円(▲40%)
無駄クリック削減と高意図キーワード中心の運用で、僅か2か月で目標CPA(10,000円)を下回りました。 - 月間問い合わせ数:11件 → 24件(×2.2倍)
LP改善とリマーケティングで比較検討層のCVRが1.1%→2.4%へ。 - 新規リード数:前年同期比 +180%
キャンペーン分割により、地域特化ニーズを取りこぼさず獲得。 - 成約率:14% → 17%(+3pt)
広告経由のリード品質向上により、営業工数を増やさず売上増を実現。 - 広告ROI:+250%
広告費月50万円に対し、平均受注粗利は月150万円超。6か月で広告投資を完全回収。