海外にも支社を持つ製造業では、国ごとにサイトを運営しているため「どの支社のサイトが一番成果を出しているのか」が分かりにくいことがよくあります。今回は Google アナリティクス 4(GA4)のデータを Looker Studio にまとめ、海外支社の数字を本社からすぐ確認できるようにした事例 をご紹介します。専門用語をなるべく使わずにお伝えしますので、自社サイトの数字が見えにくいと感じている中小企業の社長さまはぜひ参考にしてください。
導入企業情報
- 業種:電子部品メーカー(社名は非公開)
- 従業員規模:国内外あわせて約4万人
- 課題の背景:日本本社と海外20支社がそれぞれ自国向けサイトを運営。月間ページビューは20万を超えるものの、支社ごとの成果が把握しづらい状況でした。
導入前の悩み
- 数字がバラバラに保管されている
支社ごとに記録方法が違い、数字の呼び方もまちまち。毎月の会議で比較するには、担当者がエクセルで手作業でまとめるしかありませんでした。 - レポート作成に時間がかかる
月次レポートを作るのに約10時間。数字が出る頃には次の施策を考える時間がなくなっていました。 - 現場がツールを使いこなせない
支社の担当者は GA4 の画面操作に慣れておらず、データ分析は日本本社の数名に頼り切りでした。
取り組み内容
1. 記録ルールを統一
- これまで支社ごとに分かれていたデータを 1つの GA4 プロパティ に集約。
- 記録する項目名(イベント名や UTM など)をすべて英語にそろえ、どの国の担当者でも意味が分かるようにしました。
2. 「全体把握ダッシュボード」を作成
- 本社向けに、「訪問数」「問い合わせ件数」「製品別の成果」 を一画面で見られるボードを Looker Studio で作成。
- データは毎日自動で更新されるため、最新の数字を週次会議でそのまま使えます。
3. 「現場向けダッシュボード」を作成
- 支社の担当者が 3クリック以内 で必要な数字にたどり着けるレイアウトを採用。
- たとえば「どの広告から来た人が一番問い合わせにつながったか」をすぐに確認でき、現場で改善案を考えられるようになりました。
4. テンプレート化と教育
- 作成したボードをテンプレート登録し、新しい支社サイトでも コピーして設定を変えるだけ で使えるように。
- 操作マニュアルと3分ほどの動画を日本語と英語で作成し、担当者の習熟時間を短縮しました。
導入後の成果
項目 | 導入前 | 導入後 | 変化 |
---|---|---|---|
月次レポート作成時間 | 10時間 | 2.5時間 | ▲75% |
「データを活用している」と答えた担当者 | 32% | 65% | 約2倍 |
全支社平均の問い合わせ率 | 1.9% | 2.7% | +0.8ポイント |
低調な支社で行った改善テスト数 | 0 | 2 | ― |
- 数字をまとめる時間が大幅に減った ため、本来の改善業務に時間を割けるようになりました。
- 全支社の数字が一目で分かるようになり、伸びている国の事例をすぐに横展開できるようになりました。
- 改善が遅れていた支社でもテストを実施し、年間で 1,500 件の追加問い合わせを獲得しました。