「また夜勤が一人。この状態でどうやって回せばいいんだ」と感じている介護施設の管理者・経営者の方は多いはずです。
2026年度には約25万人の介護職員が不足すると予測されています。
採用を続けても追いつかない構造です。
この記事では、採用に頼らず少人数で現場を回すためのIT活用法と、その費用を大きく抑えられる補助金の活用方法をお伝えします。
介護施設の人手不足で「回らない」は、なぜ解消しないのか
人手不足が解消しない最大の理由は、「採用で解決しようとし続けている」からです。
求人票を出しても応募が来ない。
来ても定着しない。
定着させるために処遇改善を重ねれば、今度はコストが圧迫される。
このサイクルを繰り返している施設が大半です。
「採用強化」では追いつかない構造的な理由
2026年度には全国で約240万人の介護職員が必要とされる一方、約25万人の需給ギャップが生じると予測されています。
さらに、2023年度(令和5年度)の調査では統計開始以来初めて介護職員数が減少に転じました。
母集団が縮んでいる以上、採用競争を続けても勝ち目はありません。
「人が採れない」のではなく、「人が採れる前提の運営設計になっている」ことが本質的な問題です。
間接業務が「人を使い切っている」という現実
現場が回らない理由は人数だけではありません。
申し送り、ケアプラン作成、月次報告、請求事務、窓口への移動確認。
これらの間接業務が、直接ケアに使えるはずの時間を奪っています。
| 間接業務の種類 | 従来の所要時間 | ICT導入後の所要時間 |
|---|---|---|
| 月次報告書作成 | 2日間(徹夜作業含む) | 約30分 |
| ケアプラン作成 | 半日(約4時間) | 約1時間 |
| 請求業務(転記・計算) | 半日 | ほぼ自動化 |
(出典:Hope Care AIクラウドシステム導入成果レポート、2026年2月)
この数字を見ると、「人が足りない」のではなく「間接業務に人が取られている」という実態が見えてきます。
人を増やすより先に、機械に任せられる仕事を機械に渡すほうが、はるかに現実的です。
IT化が進まない施設の「3つの壁」
一方で、ICT導入が進まない理由も明確です。
「初期費用がかかる」「スタッフが使いこなせるか不安」「どこから手をつければいいかわからない」の3つです。
この壁を乗り越えるための具体策と補助金制度については、後半のEvidenceセクションで詳しく解説します。
でも、介護のICT化は「難しい」と思われすぎている
正直に言うと、介護施設のIT化は「難しい」「お金がかかる」と思われすぎています。
実際に相談を受けると、「そういうことか、ならできそうですね」という反応になることが多いです。
相談で多いのが「うちは小さい施設だからICTは関係ない、という思い込みがあった」という話です。
大型施設しか恩恵を受けられないイメージがあるようですが、むしろ少人数で回さなければならない小規模施設こそ、IT化の効果が大きい。
一人が担う業務の幅が広い分、自動化できる領域も広いからです。
こういうこと、ありませんか?
- 月末が近づくと、夜中まで残って報告書を仕上げているスタッフがいる
- 申し送りに時間がかかりすぎて、次のシフトのスタッフも早く来なければならない状態になっている
- 市町村の窓口に確認の電話をかけたり、書類を取りに行く時間が馬鹿にならない
どれも「人が足りないから起きている」のではなく、「その作業が必要だから起きている」問題です。
作業をなくせれば、人数は変わらなくても現場の余裕が生まれます。
ロボットや最新機器の話ではありません。
記録・申し送り・請求といった事務業務を、いかに自動化するか。
まずはそこからです。
「どこから始めれば?」と聞かれたら、私は「まず月次報告書と申し送りノートを紙からやめることを考えてみてください」と答えています。
そこだけで月に数十時間の余裕が生まれます。
数字で見る「IT化で少人数運営は本当に可能か」
現場で実証されている時間削減の実態
Hope Care AIクラウドシステムの導入成果レポート(2026年2月)によると、AI技術の活用で、介護現場の生産性が13.8%から最大126%向上した事例が報告されています。
月次報告書の作成は「2日間の徹夜作業」から「30分」へ、ケアプランの作成は「半日」から「1時間」へ短縮されています。
夜勤帯の業務改善も顕著です。
見守りセンサーを導入した施設では、夜勤時間の約30%を占めていた定期見回りが大きく減りました。
センサーが異常を検知したときだけスタッフに通知される仕組みに切り替えることで、夜勤職員の充足率が58%から100%へ改善した施設も報告されています(Hope Care導入事例、2025年9月)。
厚生労働省の2025年度調査でも、ICTを導入した事業所の職員満足度が平均25%向上したことが確認されています。
業務負担の軽減が、そのまま人材の定着につながっています。
残業が減れば離職も減り、結果的に採用コストも下がります。
ある施設では、離職率が42%から8%に下がったことで、採用・教育にかけていたコストが大幅に圧縮された事例も報告されています(Hope Care導入事例レポート、2025年9月)。
「採用で解決」vs「IT化で解決」のコスト比較
| 比較項目 | 採用で解決(1名追加) | IT化で解決(月5万円プラン) |
|---|---|---|
| 初期コスト | 採用費用 約30万〜100万円 | 補助金活用で実質0〜数万円 |
| 毎月のコスト | 給与・社保 約25万円〜 | 月額3万〜5万円 |
| 定着するか | 離職リスクあり | ソフトは辞めない |
| 効果が出るまで | 3〜6ヶ月(研修含む) | 初月から業務時間が変わる |
採用1名の年間コストは、給与・社会保険料だけで最低300万円を超えます。
一方、クラウド型介護ソフトとスマートフォンの組み合わせなら、月額5万円以下で運用できます。
さらに2025年度の補助金を使えば、初期費用のほとんどをカバーできます。
2026年度の補助金で初期費用はほぼカバーできる
2026年度(令和8年度)の「介護テクノロジー定着支援事業」では、補助率が対象経費の4分の3または5分の4に設定されています。
単体導入であれば機器1台につき上限30万〜100万円、ソフトウェアは職員数に応じて上限100万〜250万円程度。
Wi-Fi環境の整備からソフトウェア・見守りセンサーまでを一括で導入する「パッケージ型」では、1事業所あたり上限1,000万円規模の補助を受けられる自治体もあります(北海道・神奈川県・千葉県・静岡県等)。
さらに、2026年4月から「介護情報基盤」の稼働が順次始まります。
これにより、要介護認定情報や主治医意見書がパソコンから即時照会できるようになり、市町村窓口への移動や電話確認が不要になります。
この基盤接続のための機器購入にも助成金があり、訪問・通所系は上限6.4万円(最大3台)、居住・入所系は上限5.5万円(最大2台)が助成されます(厚生労働省、介護情報基盤ポータルサイト、2025年10月)。
ただし、補助金採択のためにはIPA「SECURITY ACTION」宣言や、LIFE(科学的介護情報システム)への登録が必須要件となっています。
申請には一定の準備が必要なので、早めに動くことをおすすめします。
まとめ:人を増やさなくても、現場は回せる
介護施設の人手不足で現場が回らない根本原因は、「採用で解決しようとする構造」にあります。
間接業務を機械に渡すことで、今いるスタッフが直接ケアに集中できる時間が生まれます。
残業が月48時間から12時間になった施設、離職率が42%から8%に下がった施設。
いずれも、人を増やしたのではなく仕組みを変えた結果です。
特別な規模の施設だけの話ではありません。
少人数で回している施設だからこそ、一つの業務改善が現場全体に波及しやすいのです。
2026年度の補助金は補助率4分の3以上。
今が最も低コストで始められるタイミングです。
「うちの規模でも使えるのか」「何から手をつけるべきか」。
そういう段階から、外部の目で一緒に整理できます。
補助金申請の要件確認から導入後の定着まで、一緒に考えることができます。
まずは話を聞いてみたい、という方も歓迎です。
オンラインで60分、あなたの施設の状況をお聞かせください。
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