求人レポート

【2026年版】年収の壁123万円でも働き控え60%|パート依存経営の限界

ホワイトボードに書かれた「年収の壁123万円」「働き控え60%」「倒産急増」「脱・パート依存」という深刻なキーワードを前に、真剣な表情で議論している4人のビジネスパーソン。男性がグラフを指差して説明している

「年収の壁が上がれば、パートがもっと働いてくれる」

2025年、多くの中小企業経営者がそう期待した。税制改正で非課税ラインは103万円から123万円へ引き上げられた。しかし結果はどうだったか。

野村総合研究所の調査(2025年12月)によると、有配偶パート女性の約60%が依然として就業調整を続けていた。制度が変わっても、働き方は変わらなかったのだ。

2026年を迎えた今、改めて振り返る。2025年に起きた「パート依存経営」の構造的な限界と、そこから見える打開策を最新データで検証する。

1. 制度改正の結果:123万円に上がったが…

2025年度税制改正で、所得税の非課税ラインは123万円に引き上げられた(財務省/国税庁 2025年4月)。

基礎控除が48万円から58万円へ、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円へ、それぞれ10万円ずつ拡大された結果だ。

理論上、年収ベースで約20万円の労働枠が広がった。

時給1,400円換算なら、月間約11時間の労働増が可能になる計算だった。

しかし、立ちはだかったのが「社会保険の壁」である。

税金の壁が123万円に上がっても、社会保険の加入義務が発生する「106万円の壁(月額賃金8.8万円)」は変わらなかった。

つまり、「税金はかからないが、社会保険料は取られる」という逆転ゾーンが拡大した。

年収110万円や120万円で働くと、社会保険料(本人負担約15%)が引かれ、手取りが106万円以下で働くより減ってしまう。

いわゆる「働き損」だ。

この構造が変わらない限り、税制改正だけでは働き控えは解消されない。2025年がそれを証明した。

→ 関連記事:[2026年版:年収の壁が123万円に上がっても、6割が「働き控え」を続けた理由]

2. 働き控え60%の壁:なぜ働かなかったのか

制度が変わっても行動が変わらなかった。

その最大の要因は「情報の非対称性」にあった。

オフィスステーションの調査(2025年初頭)によると、政府の「年収の壁・支援強化パッケージ」について、「知っていて、意味を理解している」層はわずか6.6%に過ぎなかった。

マイナビの調査(2025年)でも、アルバイト就業者全体の36.7%が就業調整を実施していた。

3人に1人だ。さらに深刻だったのは、年末(11月〜12月)に向けて主婦層から「働き控え」の相談を受けた企業が27.1%に達していたこと。

繁忙期に貴重な戦力が離脱するという、経営現場にとって最も痛手となる現象が続いた。

労働者は「働きたくない」のではなかった。

「損をしたくない」という防衛本能で動いていた。

制度が難解であり、企業側からの適切な説明が不足していたために、結果として「従来通りの103万円・130万円」という安全地帯に留まり続けたのだ。

3. 時給1,426円時代:コスト構造の激変

働き控えによる量的不足に加え、2025年は「価格」の面でも中小企業を追い詰めた。

厚生労働省の毎月勤労統計調査(2025年12月)によると、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,426円に達し、前年同月比で4.2%もの上昇を記録した。

ディップの調査(2025年11月)でも、アルバイト・パートの募集時平均時給は全国平均で1,360円(前年比+45円)。

三大都市圏の派遣スタッフ時給に至っては1,609円と、1,600円台が定着した。

最低賃金の全国加重平均も2025年度改定で1,121円となり、全都道府県で1,000円を超えた(厚労省/JILPT 2025年10月)。

名実ともに「時給1,000円以下の労働力」は日本から消滅した。

時給1,400円は、フルタイム換算で月給22万円に相当する。

パートを「安い調整弁」と見る時代は終わった。

→ 関連記事:[2026年版:パート時給1,426円。「安い労働力」という前提が崩れた]

4. 人件費高騰倒産152件:新しい淘汰の形

2025年は「人手不足倒産」の質が変わった年でもあった。

帝国データバンクの集計(2026年1月)によると、2025年の人手不足倒産件数は427件

3年連続で過去最多を更新し、前年比24.9%増という急増ぶりだった。

注目すべきはその中身である。

東京商工リサーチの分析(2026年1月)によれば、「人件費高騰」を主因とする倒産は152件に達し、前年比で43.3%増となった。

かつては「募集しても人が来ない(求人難)」が主な理由だった。

しかし2025年は「賃上げ難」型の倒産が主流となった。

大企業が春闘で5%超の賃上げを実施する中、それに追随できない中小企業から従業員が流出し、事業継続が不可能になるケースだ。

倒産企業の規模別内訳を見ると、従業員10人未満の小規模企業が全体の77.0%(329件)を占めた。

賃上げ原資を持たない零細企業から順に、市場から退場させられた。

→ 関連記事:[2026年版:人件費高騰倒産152件。「賃上げ難」という新しい倒産パターン]

5. 結論:パートに頼らない仕組みへ

2025年のデータが示したのは、「制度改正に過度な期待をしてはならない」という事実だ。

税金の壁が上がっても、社会保険の壁がある限り、パート従業員の「働き控え」マインドは変わらなかった。

時給相場は1,426円まで上昇し、「安い労働力」という前提は崩壊した。

「国がなんとかしてくれるだろう」と待っている間に、競合他社に人材を奪われ、賃上げ競争に敗れた企業が倒産した。

2026年、打開策は明確だ。「パートに頼らない仕組み」を作ることだ。

業務の自動化、ITによる効率化、少人数で回るオペレーションの構築。採用で人を増やすのではなく、仕組みで生産性を上げる。それが、これからの生存戦略になる。

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