「あの人がいないと仕事が回らない」とわかっていても、忙しさを理由に後回しにしていませんか。
この記事では、属人化を放置した場合に起きることを、実際のデータと現場の声をもとにお伝えします。
属人化を放置すると、退職が致命傷になる
属人化を放置するとどうなるか。
最悪の場合、一人の退職が会社の存続を揺るがします。
なぜかというと、特定の人だけが知っている業務・取引先・段取りは、その人が辞めた瞬間に「消える」からです。
引き継ぎはできない。
マニュアルはない。残ったメンバーには手も足も出ない。
管理職200名への調査(taiziii、2025年)では、ベテラン退職時の懸念として「問題が発生したとき、誰も解決できなくなる」が36.5%で最多でした。
「業務が完全にストップする」も23.5%います。
これは仮定の話ではなく、管理職が現場で実感しているリスクです。
つまり、属人化を放置したまま退職が起きると、会社の機能が止まる可能性が3割以上の職場に存在します。
正直に言うと、多くの経営者は「自分の会社に限って」と思っている
正直に言うと、経営者の方の多くは「うちの会社の話じゃない」と感じているものです。
相談で多いのが「Aさんはもう10年以上いるから大丈夫」「辞める気配はない」という言葉です。
でも、病気や家族の事情、突然の転職申し出は誰にも予測できません。
こういうこと、ありませんか?
- 「この取引先への連絡はBさんにしか頼めない」と言い続けて、すでに5年が経っている
- 月末の経理処理はCさん担当だが、手順を知っているのはCさんだけで、休んだら詰まった
- 新しいスタッフに業務を覚えてもらおうとしたが、「Dさんに聞いてください」で止まってしまった
属人化が問題だとわかっていながら手が打てないのは、意識の問題ではありません。
「今すぐ困っていない」から、後回しになるのです。でも、その状態こそが一番危険です。
採用で人を増やしても、新しい人が来るまでに今いる人が辞めてしまえば意味がありません。
放置が続けば続くほど、リスクは静かに積み上がっていきます。
具体的な解消の手順は[業務のマニュアル化|属人化を解消する具体的な方法]で紹介しています。
「どうすればいいか?」と聞かれたら、私は「まず特定の一人に依存している業務を書き出すことから始めてください」と答えています。
倒産件数が語る「放置のツケ」——帝国データバンクのデータ
放置したリスクがどこに行き着くか、数字で確認してください。
2024年、従業員退職を直接の原因とする倒産が87件に達し、過去最多を記録しました(帝国データバンク、2024年)。
前年比では30%増です。
さらに2025年の人手不足倒産は427件で3年連続の過去最多となり、うち77.0%(329件)が従業員10人未満の企業でした(帝国データバンク、2025年)。
つまり、倒産しているのは大企業ではなく、ほとんどが中小・零細企業です。
もう一つ見ておきたいデータがあります。
厚生労働省の雇用動向調査(2023年)によると、日本全体の離職率は15.4%。
単純計算すると、約7年で社員が全員入れ替わります。
「あの人は辞めない」という前提で業務設計をしているとしたら、7年後には誰もその業務を知らない状態になります。
[属人化とは?|中小企業が放置してはいけない理由]では、なぜ属人化が生まれるのかをより詳しく解説しています。
あわせて確認してください。
採用にかかるコストも見ておきましょう。
マイナビの中途採用実態調査(2024年)によると、従業員50人以下の企業で中途採用1人にかかる採用費用は平均21.5万円です。
これは採用費だけの話で、育成・引き継ぎの時間は別にかかります。
「人が辞めるたびに採用で補充する」やり方は、コストと時間の両方で非効率です。
仕組みで属人化を解消する方が、長い目で見て現実的です。
まとめ
属人化を放置すると、一人の退職が業務停止を引き起こし、最悪の場合は倒産にまで至ります。
「辞めないから大丈夫」という前提は、7年で崩れます。
まず動くべきは、採用より先に「業務の見える化」です。
まずは話を聞いてみたい、という方も歓迎です。
オンラインで60分、あなたの会社の状況をお聞かせください。
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