経営課題のヒント

属人化が退職リスクになる理由|辞められる前にやること

「属人化リスクが表面化した瞬間。キーマンの退職で、大量の書類を抱え愕然とする男性社員。夕方のオフィス。」

「あの人が辞めたら、うちは回らなくなる」と感じていませんか?

属人化と退職リスクは、切っても切れない関係があります。

この記事では、属人化がどのように退職リスクを高めるのか、そして辞められる前に何をすべきかをお伝えします。

属人化が退職リスクを高める理由

属人化した状態で退職されると、業務がストップするリスクが一気に高まります。

なぜなら、担当者しか知らない手順や判断基準が会社に残らないからです。

管理職への調査(taiziii 2025)では、ベテランが退職した際の懸念として「問題発生時に誰も解決できなくなる」が36.5%、「後任育成に莫大なコストと時間がかかる」が31.0%でした。

つまり、属人化を放置したまま退職が発生すると、会社の対応力が根本から崩れる可能性があります。

では、退職はそれほど珍しいことではないのでしょうか。

厚生労働省の雇用動向調査(2023年)によると、日本全体の離職率は15.4%です。

これは単純計算で、7年あれば社員が全員入れ替わる水準です。

さらに、Job総研の調査(2025年)では77.8%が「早期離職は当たり前」と答えています。

退職を「いつかの話」と考えている経営者ほど、属人化リスクにさらされています。

属人化の状態を整理すると、以下のようになります。

リスクの種類具体的な問題
業務停止リスク担当者がいないと判断も処理もできない
引き継ぎコスト後任育成に時間と費用がかかる
倒産リスク退職がきっかけで経営が成り立たなくなる

私がよく見る「手遅れになるパターン」

正直に言うと、属人化の問題は「気づいたときには手遅れ」になりやすい問題です。

相談で多いのが「辞める1か月前に言われて、引き継ぎが追いつかない」という状況です。

その段階で慌てて動いても、業務の仕組みを整えるには時間が足りません。

こういうこと、ありませんか?

  • 請求書や契約書の処理を一人の社員だけが把握していて、休んだだけで業務が止まる
  • ベテランが持っている取引先との関係やノウハウが、どこにも記録されていない
  • 「あの人に聞けばわかる」が口癖になっていて、その人が退職の相談を持ち込んできた

これらはすべて、退職の瞬間に問題化します。

業務の構造そのものに問題がある。

[属人化とは?|中小企業が放置してはいけない理由]で詳しく解説しています。

「でも、マニュアルを作る時間がない」という声もよく聞きます。

だとすれば、時間がかかるマニュアル化より先に、「この業務は誰が代わりにできるか」を確認することから始めてみてください。

手が打てるかどうかの判断だけでも、かなり変わります。

数字で見る退職型倒産の現実

属人化と退職の問題は、倒産という最悪の結末とつながっています。

帝国データバンクの調査(2024年)によると、従業員の退職が直接の引き金となった「退職型倒産」は87件で、前年比30%増の過去最多です。

つまり、退職によって会社が立ち行かなくなるケースが急増しています。

また、人手不足倒産の77%が従業員10人未満の企業です(帝国データバンク 2025年)。

小さな会社ほど、一人の退職が会社全体に与える影響が大きいのが実態です。

さらにコストの問題もあります。

マイナビの調査(2024年)によると、50人以下の企業における中途採用コストは1人あたり21.5万円です。採用費だけでこの数字です。

退職型倒産まで至らなくても、採用と育成を繰り返すコストは積み重なります。

採用で人を補充するのか、業務の仕組みを整えて退職リスクを下げるのか。

私は後者から手をつけることをおすすめしています。

まとめ

属人化したまま退職リスクを放置すると、業務停止や倒産につながる可能性があります。

退職型倒産は前年比30%増、離職率15.4%という数字は他人事ではありません。

キーマンが辞める前に、「この業務は誰でもできるか」を今すぐ確認してみてください。

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