「原材料費が上がったので値上げします」は通る。 「人件費が上がったので値上げします」は通らない。
内閣官房・公正取引委員会の調査(2025年2月)が、この現実を数字で示している。
コスト全体の価格転嫁率は49.7%。約半分は価格に反映できている。しかし、労務費(人件費)に限ると44.7%。原材料費やエネルギー費に比べ、最も転嫁が難しい項目だ。
なぜか。
原材料費は「市況」で説明できる。請求書や相場データを見せれば、発注側も納得しやすい。
一方、人件費は「社内事情」と見なされる。「それは御社の生産性の問題では?」と切り返されるリスクがある。
特に下請け構造の中にいる企業は厳しい。「嫌なら他に頼む」と言われることへの恐怖が、交渉のテーブルにすら着くことを躊躇わせている。
だが、最低賃金1,500円時代に「転嫁できないまま賃上げだけ続ける」は、数年で資金ショートを招く。
打開策は2つしかない。
1つは、価格交渉の「正当性」を武器にすること。政府は「労務費の適切な転嫁」を推進しており、公正取引委員会も監視を強化している。制度を盾に、粘り強く交渉する。
もう1つは、人件費単価の上昇を「人数の削減」ではなく「業務の自動化」で吸収すること。採用を増やさず、ITで生産性を上げれば、転嫁交渉に頼らなくても利益を守れる。
採用以外の選択肢がある。それを知っているかどうかで、次の5年が変わる。
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