求人レポート

価格転嫁できている中小企業は3.8%だけ。賃上げ原資が作れない構造的な理由

モダンなオフィスで、データダッシュボードが表示されたタブレットを手に持ち、自信に満ちた笑顔でカメラを見つめる日本人ビジネスウーマン。

「賃上げの原資はどこから来るのか」という問いに、多くの中小企業経営者は答えられない。

当然だ。

原資がないのだから。

コストの増加分を完全に(10割)価格転嫁できている企業は、全体のわずか3.8%だ(日本商工会議所LOBO調査、2025年10月)。

「1〜3割程度しか転嫁できていない」企業が32.9%で最多、「全く転嫁できていない」企業も12.5%存在する(帝国データバンク、2025年7月)。

賃上げしろ、とは言われる。

でも、その分を売値に乗せられなければ、コストは自社が丸ごと被ることになる。

利益が削られ、体力が奪われていく。

なぜ転嫁できないのか。

力関係の問題だ。

中小企業は多くの場合、発注元(大企業・元請け)に対して立場が弱い。

「値上げしたい」と言えば、仕事を他に回されるかもしれない。

その恐怖が、転嫁の申し出を阻んでいる。

サプライチェーンの下流に行くほど転嫁率は下がり、1次請けの54.7%に対して4次請け以上では42.1%まで落ちる(中小企業庁、2025年9月)。

業種によって明暗はさらに鮮明だ。

建設業(46.2%)や卸売業(44.8%)はまだ転嫁が進んでいる方だが、小売業は29.0%、医療・福祉・保健衛生に至っては15.1%という低水準だ(日本商工会議所LOBO調査、2025年10月)。

BtoC産業では、最終消費者への値上げが「客離れ」を招くため、さらに困難になる。

結論として、多くの中小企業は「賃上げしたくても、その原資を売上から作れない構造」に置かれている。

この構造を変えるには、2つの方向がある。

1つは価格転嫁の交渉力を高めること。

もう1つは、コストを増やさずに生産性を上げる仕組みを作ること。

後者、つまり業務の自動化やITによる効率化は、価格交渉の弱い中小企業でも実行できる現実的な選択肢だ。

→ 賃上げ問題の全体像はこちら:[中小企業が賃上げできない5つの理由【2026年版】]

→ あわせて読む:[労務費の転嫁率44.7%。なぜ「人件費が上がったから値上げ」は通らないのか]

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