中小企業新事業進出促進補助金(第4回)とは
中小企業新事業進出促進補助金は、中小企業が既存事業とは異なる新たな事業へ前向きに挑戦するための費用を補助する国の制度です。
新市場・高付加価値事業への進出を後押しし、企業規模の拡大・付加価値向上と賃上げにつなげることを目的としています。
第4回が現行制度の最終回です。
令和8年度以降は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に統合予定です。
この制度に興味がある方は、今回が最後の申請機会です。
運営は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)。補助上限は最大7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)。
公式サイト: 中小企業新事業進出促進補助金(中小機構)(※要確認)
- 公募期間: 令和8年3月27日(金)〜令和8年6月19日(金)18:00まで(厳守)
- 申請受付開始: 令和8年5月19日(火)
- 採択発表: 令和8年9月頃(予定)
補助率・補助上限の早見表
| 従業員数 | 補助下限 | 通常上限 | 賃上げ特例上限 |
|---|---|---|---|
| 20人以下 | 750万円 | 2,500万円 | 3,000万円 |
| 21〜50人 | 750万円 | 4,000万円 | 5,000万円 |
| 51〜100人 | 750万円 | 5,500万円 | 7,000万円 |
| 101人以上 | 750万円 | 7,000万円 | 9,000万円 |
補助率: 1/2(地域別最低賃金引き上げ特例該当者は2/3)
重要: 補助下限額は750万円。計画した事業の補助対象経費が少なく、補助金額が750万円を下回る場合は採択取消になります。少額投資を考えている場合は要注意です。
この補助金が向く会社・向かない会社
向く会社
- 既存事業とはまったく異なる新市場に進出したい会社(製品の新規性+市場の新規性の両方が必要)
- 新事業のためのシステムやEC機能を一から開発したい会社(システム構築費が補助対象)
- 事業計画期間(3〜5年)で付加価値額を年平均4.0%以上向上させる計画が立てられる会社
- 1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増加させられる会社(必須要件)
- 補助事業の投資額が大きく、補助金受取額が750万円以上になる見込みがある会社
向かない会社
- 既存事業の延長・規模拡大が目的の会社→ 対象外。既存顧客・既存製品への供給量増加は「新事業進出」になりません
- 補助下限額750万円に達しない小規模なIT投資を考えている会社→ 補助金が少額にとどまれば採択取消になります
- 従業員0名または創業後1年未満の会社→ 申請不可
- 申請締切から16か月以内に新事業進出補助金・事業再構築補助金・ものづくり補助金の採択を受けた会社(補助金受領済みの場合)→ 対象外
- みなし大企業(大企業が1/2以上出資)→ 対象外
- 過去3年の課税所得年平均が15億円超の中小企業→ 対象外
- 一般事業主行動計画を公表していない会社(全規模対象。公表手続きに1〜2週間かかるため、早期対応が必要)
「既存の製品やサービスのラインナップを増やしたい」「単に売上規模を拡大したい」という場合、本補助金の「新事業進出」の定義には当てはまりません。まず「新事業進出指針」で定義を確認してください。
対象になる経費・ならない経費
対象になる経費
| 経費区分 | 内容 | 上限 |
|---|---|---|
| 機械装置・システム構築費 | 必須。単価10万円(税抜)以上の設備・システム | なし |
| 建物費 | 生産・加工・販売施設等の建設・改修費 | なし |
| 運搬費 | 運搬料・宅配・郵送料等 | — |
| 技術導入費 | 知的財産権等の導入費用 | — |
| 知的財産権等関連経費 | 特許取得に必要な弁理士手続費用等 | — |
| 外注費 | 専用設備の設計等を外注する場合 | 補助金全体の10%が上限 |
| 専門家経費 | 技術指導・助言の専門家への報酬 | 100万円が上限(1日5万円以上の専門家は追加条件あり) |
| クラウドサービス利用費 | 補助事業専用のクラウド・Webプラットフォーム | — |
| 広告宣伝・販売促進費 | 新事業の広告・販促費 | 年間売上見込み÷計画年数×5%。100万円以上のWebサイト構築は実績報告時に開発費算出資料が必要 |
※ 機械装置・システム構築費または建物費のどちらかは必須です。
対象にならない経費
- 汎用品(PC・タブレット・スマートフォン等。業務用でも対象外)
- 自社の人件費・旅費
- 家賃・光熱費・通信費
- 既存機械装置の単なる置き換え(新事業と連携するための改修は対象)
- 交付決定前に発注・契約・支払いしたもの(これが最も見落とされやすい禁止事項です)
私たちのサービスで使えるか?正直に言う
| Explorer社のサービス | 相性 | 理由 |
|---|---|---|
| EC機能付きHP制作 | ◎ | 新市場向けECサイト構築はシステム構築費として対象。新製品・新顧客層向けのECなら要件充足しやすい |
| AI独自開発 | ◎ | 新市場向けのAI製品・システムをゼロから開発する場合に対象。システム構築費として計上可 |
| DX支援(業務アプリ開発) | ○ | 新事業向けのシステム開発なら対象になりえる。既存業務効率化のみは不可 |
| コーポレートHP制作 | △ | 広告宣伝費の5%上限内での計上に限定。単体での申請は補助金目的不適合の可能性 |
| Google Workspace導入 | × | 汎用クラウドツールは「汎用性があり目的外使用になりえる経費」として対象外になりやすい |
大切なことを正直に言います。
EC機能付きHPや独自AIシステムが対象になりえるとはいえ、「補助金を使うためにECサイトを作る」という発想は失敗のもとです。本補助金が想定しているのは「新市場への進出という事業計画がすでにあり、そのために必要な投資に補助金を使う」というパターンです。
補助金目的で新事業を作っても、3〜5年間の賃上げ義務・最低賃金維持義務・効果報告義務が課され、未達成なら返還です。「補助金が出るから新事業をやろう」ではなく「新事業をやりたいから補助金を使おう」の順番でなければ、後悔することになります。
代替補助金の参考(目的別):
- EC・HP制作(販路開拓目的・小規模事業者)→ 小規模事業者持続化補助金
- 省力化・専用システム開発→ 省力化投資補助金(一般型)第6回
- GWSやSaaSツール導入→ デジタル化・AI導入補助金2026
採択される「新事業進出」の定義
本補助金で最も見落とされやすいのが、「新事業進出」の定義の厳しさです。3つの要件を全て満たす必要があります。
(1)製品等の新規性要件
事業により製造・提供する製品・サービスが、自社にとって新規性を有するものであること。
新規性に該当しない例(非対象):
- 既存製品の製造量・提供量を増やすだけ
- 過去に製造していた製品を再製造する
- 単に既存製品の製造方法を変更する
(2)市場の新規性要件
その製品・サービスの市場が、自社にとって新たな市場であること。既存の顧客層・ニーズ・業種への展開は「新市場」になりません。
新規性に該当しない例(非対象):
- 既存製品と対象顧客が同一
- 既存製品の市場の一部のみを対象とするもの
- 単に商圏を広げるだけ
(3)新事業売上高要件
事業計画期間の最終年度において、新事業の売上・付加価値額が総売上の10%または総付加価値額の15%以上を占める見込みがあること。
3つ全てクリアして初めて「新事業進出」です。「うちなら大丈夫」と思っていても、審査で認められないケースは多いです。
申請の流れとスケジュール
重要スケジュール
| 項目 | 日時 |
|---|---|
| 公募開始 | 令和8年3月27日(金) |
| 申請受付開始 | 令和8年5月19日(火) |
| 申請締切 | 令和8年6月19日(金)18:00(厳守) |
| 採択発表 | 令和8年9月頃(予定) |
| 補助事業実施期間 | 交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内) |
| 事業計画報告期間 | 補助事業完了後5年間(毎年報告義務) |
申請前に必ず準備すること
- GビズIDプライムアカウントの取得(発行に1週間程度かかるため先に動く)
- 一般事業主行動計画の策定・公表(「両立支援のひろば」への公表手続きに1〜2週間かかります。締切直前では間に合いません)
- 事業計画書の作成(自社で作ることが前提。外部に丸投げすると発覚時に不採択・取消・公表の対象)
- 金融機関から資金調達する場合は金融機関による確認書の取得
申請の流れ
- 新事業の事業計画書を作成(自社で。外部支援者名の記載義務あり)
- 電子申請システムで申請(申請者本人が行うこと)
- 審査(書面審査。システム投資・ECサイト案件は口頭審査の場合あり)
- 採択発表(令和8年9月頃)
- 交付申請(採択発表日から2か月以内に必ず実施)
- 交付決定後に発注・契約・支払いを開始
- 実績報告
- 補助金交付
- 5年間の事業化状況報告
見落としがちな3つの罠
罠1: 口頭審査がある ECサイトやシステム開発等の案件は、オンラインで口頭審査が実施される場合があります。経営者本人が参加・説明できることが必要です。
罠2: 採択後の交付申請期限が短い 採択発表日から2か月以内に交付申請しないと採択決定が取消になります。採択されて安堵して放置してはいけません。
罠3: 補助事業完了後も5年間の報告義務 採択後5年間、事業化状況を毎年報告する義務があります。「補助金をもらえれば終わり」ではありません。
補助金の前に考えるべきこと
「補助金ありきで考えると失敗します。」
本補助金には3〜5年間の厳しい義務が伴います。
必須要件(未達成で返還義務):
- 1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増加させること
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準に毎年維持すること
これを守れなければ、補助金を返す計算式が発動します。 補助金を受け取った後に事業がうまくいかなかった場合でも、賃上げ要件を達成できなければ補助金の返還を求められます。「いざとなれば返せばいい」という考えは、加算金(延滞利息)を含めた返還を覚悟することを意味します。
また、第4回が現行制度の最終回です。「今回を逃したら次がない」と焦って申請するのが最も危険なパターンです。まず、本当に今の自社に「新市場への進出計画」があるかを冷静に判断してください。
まとめ
- 中小企業新事業進出促進補助金(第4回)は、新市場・新製品への進出計画がある中小企業向けの補助金です
- 補助上限は最大7,000万円(特例で9,000万円)。ただし補助下限額750万円あり
- 「新事業進出」の定義が厳格。既存事業の延長・規模拡大は対象外
- 賃上げ要件・最低賃金維持要件の未達成は補助金返還義務が発生
- 第4回が現行制度最終回。令和8年度以降は「新事業進出・ものづくり補助金」への統合予定
- 申請締切:令和8年6月19日(金)18:00厳守。GビズIDと一般事業主行動計画の準備が先決
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