助成金・補助金情報

中小企業省力化投資補助金(一般型)第6回公募|向かない会社と正直な活用法

スマートファクトリーで、青いTシャツを着た2人の男性が、専用ロボットアームとタブレット(設計図)を用いて、省力化投資補助金の活用について議論している、夕暮れの写真

1. 省力化投資補助金(一般型)とは

中小企業省力化投資補助金(一般型)は、人手不足に悩む中小企業がIoT・ロボット・AI等のデジタル技術を活用した専用設備(オーダーメイド設備)を導入するための補助金です。

第6回公募は2026年3月に公募要領が公開されました。

補助上限額は従業員規模に応じて750万〜8,000万円(※特例適用時は最大1億円)。

事業の目的は、省力化投資を通じて付加価値額・生産性を向上させ、賃上げにつなげることです。

管轄は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)。申請はGビズIDプライムアカウントによる電子申請のみ。

公式サイト: https://shoryokuka.smrj.go.jp/catalog/(※要確認)

よくある混同:「IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)」との違い

相談で多いのがIT導入補助金との混同です。名前が似ていますが、制度の設計思想がまったく違います。

省力化投資補助金(一般型)デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
対象自社専用のオーダーメイド設備事務局に事前登録されたITツール
フルスクラッチ開発可能(むしろ本命)不可(登録ツールから選ぶ仕組み)
補助上限750万〜8,000万円5万〜450万円
申請の主体事業者自身IT導入支援事業者と共同

つまり、「うちの業務に合うシステムをゼロから作りたい」なら省力化投資補助金(一般型)、「既存のクラウドツールを導入したい」ならデジタル化・AI導入補助金です。ここを間違えると、申請準備を進めた後に「対象外でした」となります。

2. 補助率・補助上限の早見表

基本枠

従業員数補助上限額特例適用時
5人以下750万円1,000万円
6〜20人1,500万円2,000万円
21〜50人3,000万円4,000万円
51〜100人5,000万円6,500万円
101人以上8,000万円1億円

※特例=大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例

補助率

補助対象者補助率特例適用時
中小企業1/22/3
小規模企業者・小規模事業者・再生事業者2/32/3

※特例=最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例

対象経費の上限ルール

  • 機械装置・システム構築費:必須(単価50万円以上の設備投資が必要)
  • それ以外の経費:補助対象経費総額(税抜き)の1/2または1/3が上限
  • 機械装置・システム構築費以外の経費合計:総額で500万円(税抜き)まで

3. この補助金が向く会社・向かない会社

向く会社

  • 人手不足が深刻で、業務の一部をロボットやシステムで自動化したい製造業・物流業・サービス業
  • 自社の業務に合った専用設備(オーダーメイド)を外部のSIerと連携して導入したい会社
  • 事業計画期間(3〜5年)で労働生産性を年平均4.0%以上向上させる計画を立てられる会社
  • 事業場内最低賃金を都道府県の最低賃金+30円以上にできる会社
  • 1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上引き上げる計画を立てられる会社(従業員全員への表明が必要)

向かない会社

  • 汎用設備・パッケージソフトを単体で導入したいだけの会社(パソコン、プリンタ、市販の業務ソフト単体は対象外。複数の汎用設備を組み合わせて高い省力化効果を生む場合は対象になりえます)
  • 既製品のクラウドツール(会計ソフト、勤怠管理等)をそのまま導入したい会社 → カタログ注文型か、デジタル化・AI導入補助金を検討
  • 設備投資の単価が50万円未満の小規模なIT投資を考えている会社
  • 従業員0名の事業者(応募不可)
  • 事業計画期間中に賃上げ要件(給与支給総額+3.5%/年、最低賃金+30円)を達成する見通しがない会社
  • みなし大企業に該当する会社

向かない会社に当てはまっても落ち込む必要はありません。目的に合った別の補助金があります(セクション5・8で紹介します)。

4. 対象になる経費・ならない経費

対象になる経費

区分必須/任意内容上限
機械装置・システム構築費必須専用機械・装置・工具、専用ソフトウェア・情報システムの購入・製作・借用・改良・据付けなし(ただし単価50万円以上の設備投資が必要)
運搬費任意運搬料、宅配・郵送料等
技術導入費任意知的財産権等の導入に必要な経費補助対象経費総額の1/3
知的財産権等関連経費任意特許権の取得に必要な弁理士手続代行費用等補助対象経費総額の1/3
外注費任意専用設備の設計等の一部を外注する場合補助対象経費総額の1/2
専門家経費任意技術指導や助言のために依頼した専門家への報酬(1日上限5万円)補助対象経費総額の1/2
クラウドサービス利用費任意専ら補助事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォームの利用費

対象にならない経費(よくある勘違い)

  • 交付決定前に発生した経費(事前着手は一切不可。「先に発注して後から申請」はできません)
  • パソコン・タブレット・スマートフォンの本体費用(「業務用だから対象では?」と思いがちですが、汎用機器は対象外)
  • 設置場所の整備工事・基礎工事
  • 自社の人件費・旅費・交際費(自社エンジニアがシステム開発しても、その人件費は対象外。外注費として外部に発注する必要があります)
  • 不動産(土地・建物)の取得費用
  • 汎用性があり目的外使用になり得るものの購入費
  • 中古品の購入費
  • 既存システムのバージョンアップ・改修費用(新規に開発・導入するシステムと連携するための改修は対象)

5. 省力化投資補助金に使えるか?正直に言う

エクスプローラー株式会社のサービスとの相性

サービス相性理由
DX支援(業務アプリ開発)自社の業務プロセスに合わせた専用システムをオーダーメイドで開発する場合、「機械装置・システム構築費」として申請可能。省力化指数の算出もしやすい
AI導入(独自開発)AI画像認識・自動仕分け等、業務特化のAIシステムを専用開発する場合に該当。オーダーメイド設備の要件を満たせる
HP制作(EC機能付き)×ホームページ制作は省力化投資には該当しない。集客・販路開拓目的なら小規模事業者持続化補助金を検討
HP制作(コーポレート)×同上
Google Workspace導入×汎用クラウドツールの導入は対象外。デジタル化・AI導入補助金が適切

「向かない」場合の代替補助金

あなたの目的おすすめの補助金
登録済みクラウドツール(会計・勤怠・CRM等)で業務効率化デジタル化・AI導入補助金2026
HP制作・チラシで集客・販路開拓(小規模事業者)小規模事業者持続化補助金
革新的な新製品・新サービスの開発ものづくり補助金
独自開発システム・AI開発(新事業として)新事業進出補助金
カタログ登録済みの省力化製品を導入したい省力化投資補助金(カタログ注文型)

6. 私たちのサービスでの活用例

◎ DX支援(業務アプリ開発)

例:製造業の検品工程を自動化するシステム開発

現在は目視で行っている検品作業を、AIカメラ+専用ソフトウェアで自動化。SIerと連携して自社の製品ラインに合わせたオーダーメイドシステムを構築。機械装置・システム構築費として申請。

◎ AI導入(独自開発)

例:物流倉庫のピッキング最適化AIシステム

注文データと在庫配置を学習し、ピッキングルートを自動最適化するAIシステムを開発。人手のピッキング時間を50%削減し、省力化指数を大幅に改善。

× HP制作・Google Workspace導入

これらのサービスは本補助金の対象外です。「省力化」の定義に合致しないため、無理に申請しても不採択になります。

HP制作で集客力を上げたい方は持続化補助金、Google Workspaceで業務効率化したい方はデジタル化・AI導入補助金をご検討ください。

7. 申請の流れとスケジュール

申請の流れ(10ステップ)

事前準備 → 公募開始 → 申請受付開始 → 審査 → 補助金交付候補者決定

→ 交付申請・決定 → 補助事業実施期間 → 確定検査 → 補助金請求

→ 補助金支払い → 効果報告

重要なスケジュール(※要確認)

  • 申請受付時期・終了時期:本事業のホームページにて公開予定(※要確認)
  • 事業実施期間:交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)
  • 事業計画期間:補助事業を完了した事業年度の翌年度を1年目とし、3〜5年
  • 効果報告:事業計画期間の1年目が終了してから、最初の4月より5年間毎年報告義務

申請前に必ず準備すること

  1. GビズIDプライムアカウントの取得(発行まで一定期間かかるため早めに)
  2. 直近2期分の損益計算書・貸借対照表
  3. 履歴事項全部証明書(発行から3か月以内)
  4. 納税証明書(その2)直近3期分
  5. 導入予定の機械装置のカタログや見積書

見落としがちな注意点

  • GビズIDプライムアカウントの発行に時間がかかる。 公募締切直前に申し込んでも間に合いません。まだ持っていない方は今すぐ取得手続きを
  • 相見積もりが原則。 発注先1者あたりの見積額が50万円(税抜き)以上の場合、同一条件で相見積もりを取得する必要があります。「システム開発一式」のような曖昧な見積書は認められません
  • 交付申請は採択発表日から約2か月以内。 期限までに交付申請しないと採択決定が取り消されます。採択されて安心して放置しないこと
  • 補助事業者の義務として、採択後に研修動画の視聴が必須。 視聴しないと採択が無効になります

加点項目(該当すれば有利)

#加点項目概要
1事業承継又はM&Aを実施した事業者過去3年以内に事業承継・M&A実施
2事業継続力強化計画有効な期間の認定を取得
3成長加速マッチングサービス登録mirasapo-connect.go.jpに登録
4地域別最低賃金引き上げ地域別最低賃金以上〜2025年度改定額未満で30%以上を3か月以上雇用
5事業場内最低賃金引き上げ2025年7月と応募申請直近月を比較し、国目安額(63円)以上の賃上げ
6えるぼし加点女性活躍推進法に基づく認定
7くるみん加点次世代育成支援対策推進法に基づく認定
8省力化ナビ加点中小機構「省力化ナビ」を活用し生産性向上の知見を確認
9健康経営優良法人加点2026年認定

8. 補助金の前に考えるべきこと

「補助金ありきで考えると失敗します。」

この補助金は最大8,000万円(特例で1億円)と金額が大きい分、要件も厳格です。以下を申請前に必ず確認してください。

賃上げ要件を甘く見ない

  • 1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増加させる事業計画が必要(「給与総額」ではなく「1人当たり」です。従業員を増やしても要件を満たせない場合があります)
  • 事業場内最低賃金を都道府県の最低賃金+30円以上にする必要がある
  • 達成できなければ補助金の返還を求められる(天災等の正当理由がない限り)

事業計画は自分で作る

公募要領に明記されています。「過大な成功報酬を請求する支援業者への依頼はトラブルの原因」。事業計画書の作成を外部に丸投げし、それが発覚した場合は不採択・取消し・公表の対象になります。

口頭審査がある

ソフトウェア投資やシステム開発等の案件はオンラインでの口頭審査(約30分)が実施される場合があります。自社の課題と導入設備の関係を、経営者自身が説明できる必要があります。

本当にオーダーメイド設備が必要か?

汎用設備を単体で導入するだけなら、この補助金は使えません。まず「省力化投資補助金(カタログ注文型)」の製品カタログを確認してください。登録製品で解決できるなら、カタログ注文型の方が申請が簡易です。

9. まとめ

省力化投資補助金(一般型)第6回は、人手不足を専用設備の導入で解消したい中小企業のための補助金です。

  • 補助上限:750万〜8,000万円(特例で最大1億円)
  • 補助率:1/2〜2/3
  • 対象:オーダーメイド設備(ICT・IoT・AI・ロボット等を活用した専用設備)
  • 必須経費:機械装置・システム構築費(単価50万円以上)
  • 賃上げ要件あり(未達で返還リスク)

汎用ツールの導入やHP制作には使えません。 目的に合わない補助金に無理に申請しても、時間と労力の無駄です。

「うちの業務に合う専用システムを開発したい」「ロボットやAIで生産工程を自動化したい」——そういった具体的な省力化ニーズがある方は、まず現状の業務課題を整理するところから始めましょう。

補助金ありきではなく、課題から考える。 それが成功する省力化投資の第一歩です。

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