ものづくり補助金とは
中小企業・小規模事業者が「革新的な新製品・新サービスの開発」を行う際の設備投資・システム構築を支援する制度です。
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。
第23次公募(2026年度)では、通常類型で最大2,500万円、成長分野進出類型(DX・GX)で最大3,500万円(補助率1/2〜2/3)という規模感で、IT投資にも活用できます(※公式サイトで要確認)。
ただし、「自社にとって新しい価値を顧客に提供する新製品・新サービスの開発」であることが大前提です。
単なる既存設備の更新や業務効率化だけでは対象になりません。
補助率・補助上限の早見表
枠・従業員数・類型によって上限額が変わります。
製品・サービス高付加価値化枠
| 従業員数 | 通常類型 | 成長分野進出類型(DX・GX) |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 | 1,500万円 |
| 21〜50人 | 1,500万円 | 2,500万円 |
| 51人以上 | 2,500万円 | 3,500万円 |
グローバル枠
| 従業員数 | 補助上限 |
|---|---|
| 従業員数問わず | 3,000万円 |
補助率
| 事業者区分 | 補助率 |
|---|---|
| 中小企業 | 1/2 |
| 小規模事業者・再生事業者 | 2/3 |
| 最低賃金引上げ特例該当者 | 2/3(特例) |
大幅賃上げ特例(補助上限の上乗せ)
下記2条件を両方満たす事業計画を申請した場合のみ適用(※どちらか一方でも未達 → 返還義務):
- 1人あたり給与支給総額の年平均成長率 +6.0%以上
- 事業所内最低賃金が事業実施都道府県の最低賃金 +50円以上
| 従業員数 | 上乗せ額 |
|---|---|
| 5人以下 | 最大+100万円 |
| 6〜20人 | 最大+250万円 |
| 21人以上 | 最大+1,000万円 |
※金額・要件は公募回により変動の可能性あり。
公式サイトで要確認。
この補助金が向く会社・向かない会社
正直に言います。
この補助金は全ての会社に向いているわけではありません。
向いている会社
- 自社の技術・ノウハウを活かして、顧客に新しい価値を提供する新製品・新サービスを開発しようとしている
- 設備(機械・システム)への投資が事業の核心にあり、補助金額が最低100万円以上見込める
- 従業員が1名以上おり、3〜5年間にわたって1人あたり給与を年平均3.5%以上引き上げる計画が実現可能
- 製造業・建設業・IT・サービス業など(業種制限はほぼなし)
向いていない会社
- 老朽化した既存設備を最新機種に入れ替えたいだけ(イノベーションなし)
- 業務効率化・省力化のみが目的(単独では対象外)
- 競合他社がすでに広く導入しているシステムを今さら入れる
- 申請時点で従業員ゼロ(第21次以降、必須要件)
- 過去16か月以内にものづくり補助金・事業再構築補助金・新事業進出補助金で採択済み
- 「とりあえず補助金が出るから申請したい」
「顧客に新しい価値を提供するか」が審査の核心です。
「設備が古くなったから買い替えたい」
「テレワーク環境を整えたい」
だけでは、この補助金は通りません。
対象になる経費・ならない経費
IT投資に関係する主な経費区分は以下の通りです。
| 経費区分 | 対象例 | 備考 |
|---|---|---|
| 機械装置・システム構築費(必須) | 専用機械、カスタム開発システム、試作設備 | これがないと申請不可 |
| 技術導入費 | 特許権・ノウハウ使用料 | 新製品開発に必要なもの |
| クラウドサービス利用費 | 新事業専用クラウド | 既存業務の汎用ツールは対象外 |
| 専門家経費 | 技術顧問、外部エンジニア費用 | 5万円/日が上限基準(※要確認) |
| 外注費 | 加工・設計・開発の一部委託 | コア部分の丸投げは不可 |
| 原材料費 | 試作品製造に必要な材料費 | 補助事業分のみ |
| その他経費合計 | 運搬費、知的財産権等 | 合計5万円(税抜)まで ※要確認 |
対象外の主な経費:
| 対象外の経費 | 理由 |
|---|---|
| 汎用PC・スマートフォン・事務用品 | 補助事業以外にも使える汎用品 |
| 既存業務の効率化のみに使うソフトウェア | 新製品・新サービス開発に直結しない |
| 市販の一般的なSaaS(会計ソフト等) | 汎用的で革新性なし |
| 採択前に発注・契約・支払いしたもの | 交付決定前の支出は全額対象外 |
| EC構築のみを目的としたサイト制作 | 広告宣伝費的性格のため |
ポイントは「補助事業に直接必要かつ新規性があるか」です。
IT投資・DXに使えるか?正直に言う
結論から言います。
「業務を便利にしたい」「DXを進めたい」だけなら、ものづくり補助金は向いていません。
なぜか?
この補助金は「既存業務の改善」ではなく「新製品・新サービスの開発」が対象です。
審査で問われるのは「それによって顧客に新しい価値が生まれるか」という一点。
たとえば、社内の受発注管理を効率化するシステムを入れる、Excelをクラウドに移行するといった取り組みは、どれだけ自社が困っていても対象外です。
補助上限が750万円〜3,500万円と大きい分、事業計画書(A4・10ページ以内)の審査は厳しく、直近の採択率は30〜35%程度(第21次:34.8%)です。
例外:こういうケースなら使える
| ケース | 経費区分 | 対象可否 |
|---|---|---|
| 既存Webサービスのリニューアル・SEO改善 | 機械装置・システム構築費外 | × |
| コーポレートHP制作 | 広告宣伝費的性格 | × |
| EC機能付きHPの単体制作 | 広告宣伝費的性格 | × |
| 革新的な新製品製造のための専用管理システム開発 | システム構築費 | ◎ |
| 新サービスを提供するためのAI・IoTシステム独自開発 | システム構築費 | ◎ |
| 新製品製造工程に組み込むIoT設備 | 機械装置費 | ◎ |
「新製品・新サービスの開発に直結するか」が唯一の判断基準です。
業務効率化・DXが目的なら別の補助金をおすすめします
- デジタル・AI導入補助金(旧IT導入補助金):最大450万円。既存業務のDX化・ツール導入に最適。クラウドSaaS・業務システムの導入が対象。
- 小規模事業者持続化補助金:最大250万円(※要確認)。小規模事業者のHP制作・販促ツール等に活用可能。
目的に合った補助金を選ぶことが、採択への近道です。
私たちのサービスでの活用例
私たちのサービスと、ものづくり補助金の相性を正直にお伝えします。
| サービス | 対象可否 | 経費区分 | 正直コメント |
|---|---|---|---|
| HP制作(EC機能付き) | × | 対象外 | EC構築は広告宣伝費的性格のため対象外。持続化補助金を推奨。 |
| HP制作(コーポレート) | × | 対象外 | 広告宣伝費は対象外。持続化補助金(◎)が最適。 |
| DX支援(業務アプリ開発) | ○ | システム構築費 | 新製品・新サービスの開発に直結するシステムなら対象になる可能性あり。既存業務効率化のみはNG。 |
| AI導入(独自開発) | ◎ | システム構築費 | 最も相性が良い。革新的な新サービスを提供するためのAI独自開発なら高い親和性。 |
| Google Workspace導入 | × | 対象外 | 汎用SaaSは対象外。IT導入補助金(◎)が最適。 |
申請の流れとスケジュール
申請の流れ
- GビズIDプライムアカウントの取得(発行まで2〜3週間かかる。最優先で着手)
- 21名以上の場合:「両立支援のひろば」への行動計画公表(審査に2週間以上。締切直前は間に合わない)
- 事業計画書の策定(A4・10ページ以内厳守。超過1ページでも即失格)
- 認定支援機関との連携(任意だが採択率に影響)
- J-Grants(電子申請システム)で申請
- 書面審査 → 口頭審査(オンライン口頭審査あり。経営者本人の主体性が問われる)
- 採択発表・交付申請・交付決定
- 補助事業の実施(発注・納品・支払いはすべて交付決定後)
- 実績報告・確定検査・補助金請求
- 事業化状況報告(事業完了後、毎年4〜5月に3〜5年間継続)
スケジュール(第23次)※要確認
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年2月6日(金) |
| 電子申請受付開始 | 2026年4月3日(金)17:00〜 |
| 申請締切 | 2026年5月8日(金)17:00 |
| 採択発表(予定) | 2026年8月上旬頃 |
| 補助事業実施期間 | 交付決定日〜2027年4月30日(金)まで |
※最新情報は公式サイトを必ずご確認ください。
注意点
- 採択前の発注・契約・支払いは全額対象外(交付決定を待ってから動くこと)
- 事業計画書は10ページ厳守(1ページでも超過 → 形式不備で即失格)
- 大幅賃上げ特例の目標未達 → 返還義務(慎重な賃金計画が必要)
- GビズIDは早急に取得(取得申請から発行まで2〜3週間)
補助金の前に考えるべきこと
最後に、一番大事なことをお伝えします。
補助金ありきで事業を考えると、失敗します。
「ものづくり補助金が使えるからシステム開発しよう」ではなく、
- 何を解決したいか(課題の明確化)
- その手段として革新的な新製品・新サービスの開発が必要か(手段の選定)
- 補助金が使えるか確認(資金源の検討)
- 3〜5年間、1人あたり給与を年3.5%以上引き上げられるか(返還リスクの評価)
この順番が正解です。
よくある相談と、おすすめの補助金
| 相談内容 | おすすめの補助金 |
|---|---|
| 業務を効率化したい・DXを進めたい | デジタル・AI導入補助金(最大450万円) |
| HPを作りたい・販促費を使いたい | 小規模事業者持続化補助金(最大250万円) |
| 人手不足をITや機械で解決したい | 中小企業省力化投資補助金 |
| 革新的な新製品・新サービスを開発したい | ものづくり補助金(この補助金) |
課題が先、補助金は後。
何の課題を解決したいかを整理してから補助金を選ぶ。それだけで採択率も、投資の成果も変わります。何から手をつけるか迷ったら、一緒に整理します。
まとめ
- ものづくり補助金は「革新的な新製品・新サービスの開発」が対象。既存業務の効率化のみは対象外
- 補助上限は通常2,500万円・成長分野進出類型(DX・GX)で3,500万円(第23次)
- 第23次の重大変更点:基本要件②が「1人あたり給与の年平均3.5%以上増加」に厳格化。未達は返還義務あり
- HP制作・GWS導入は対象外。AI独自開発・新サービス向けシステム開発は◎
- 第23次申請締切:2026年5月8日(金)17:00(※要確認)
- 補助金ありきではなく、課題から考える
IT投資・DXの資金源として補助金を検討されている方、どの補助金が自社に合うか迷っている方は、お気軽にご相談ください。
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情報源:ものづくり補助金公式サイト(2026年2月6日公開・第23次公募要領) ※金額・要件・スケジュールは変更される可能性があります。申請前に必ず公式サイトでご確認ください。